「喪服」は3つの種類に分けられ、さらに人が亡くなってから執り行われる一連の法事は、主に9種類あります。
どの法事にどんな立場で参列するかによって、適した服装も変わります。
本記事では、喪服の種類と法事の種類、どの喪服を着るべきか、服装や持ち物のちょっとしたマナーをまとめました。
法事の服装に悩んだときは、ぜひ参考にしてみてください。
法事の種類によって、服装は異なる
冒頭にもありますが、喪服には3種類あり、形式や格式の違いによって、このように分けられます。
- 正喪服
- 準喪服
- 略喪服
このうち、正喪服はもっとも格式が高いもので、喪主や遺族の方だけが着る喪服です。
準喪服、略喪服は正喪服よりも格が下がる喪服で、遺族から参列者まで広く着ることができるものです。
法事の種類と、適した喪服
まずは、9種類の法事の名称と、それぞれの法事で、どの喪服を着るかを見ていきましょう。
法事 | 喪主・遺族 | 参列者 |
お通夜・告別式・初七日 | 正喪服・準喪服 | 準喪服 |
四十九日 | 正喪服・準喪服 | 準喪服 |
百箇日 | 準喪服・略喪服 | 略喪服 |
一周忌 | 準喪服 | 準喪服・略喪服 |
三回忌 | 準喪服 | 準喪服・略喪服 |
七回忌以降 | 略喪服 | 略喪服 |
次は、法事の内容と、着るべき喪服について、詳しく解説していきます。
お通夜・告別式・初七日
初七日は、故人が亡くなってから7日目に行う追善法要ですが、最近は負担を軽減するために、お通夜や告別式と同時に行うのが一般的です。
いわゆる「お葬式」といえば、一般に、お通夜・告別式・初七日、これらの3つの法事を指すことが多いですね。
いちばん大切な法事ですので、喪主・遺族の方(3親等まで)は正喪服、それ以外の方は準喪服を着用します。
四十九日
亡くなった方は、あの世で7日おきに裁きを受け、49日目に最終的な裁定が下るといわれています。
この日が「忌明け」となり、喪中の期間もこの日をもってとりあえず終わりです。
四十九日は大事な法事ですので、喪服は、お通夜・告別式と同じく、喪主・遺族の方(3親等まで)は正喪服、それ以外の方は準喪服を着用しましょう。
地域によっては、二七日法要(ふたなぬかほうよう・亡くなってから14日目に行う)を行うこともありますが、これは近親者のみで行うことが多いので、準喪服か略喪服でかまいません。
また、三十五日法要で「忌明け」とする地域もあります。
これは四十九日の代わりですから、喪服は四十九日法要と同じにしましょう。
百箇日
「卒哭忌(そっこくき)」とも呼ばれ、この法要をもって、悲しみから解放されるとされます。
近年は、省略されたり、近親者のみでささやかに行われることが多いようです。
近親者のみの場合は、簡素な略喪服でよいでしょう。
参列者がある場合は、四十九日法要と同様、喪主・遺族の方(3親等まで)は正喪服、それ以外の方は準喪服です。
一周忌・三回忌
一周忌は、亡くなった翌年の命日に行う法要、そして三回忌は亡くなってから2年後に行う法要です。
一周忌、三回忌は、故人があの世でもう一度裁きを受ける機会になります。
仏様の加護を受けられるように、供養を行うものですので、四十九日に次いで、大切な法事とされています。
喪服は、親族、参列者ともに準喪服になりますが、地域によっては、参列者は略喪服でもよい、となっていることもあるようです。
事前に確認しておくとよいでしょう。
七回忌以降
三回忌の次に行う法要が七回忌になりますが、七回忌以降は、三回忌までと比べると簡素になるため、喪服は略喪服です。
出席者は近親者のみが一般的ですが、友人・知人として参列することもできます。
参列者がある場合も、遺族・参列者にかかわらず、喪服は略喪服でかまいません。
法事と喪服の選び方・考え方 まとめ
どの法事にどの喪服を着るか、おおまかにまとめると、つぎのようになります。
- 亡くなってから年が経つにつれ、法事・喪服は簡素になる
- 喪主・遺族の喪服は、常に参列者よりも同格または格上
- 近親者のみの法事は喪服の格を下げてもよい
これを指標に、喪服を選ぶのがおすすめです。
喪服の種類・格式
前のトピックで、喪服には3つの種類があること、正喪服はもっとも格が高いことについて触れました。
では、このトピックでは改めて、それぞれの喪服のスタイル、型、格の上下などを詳しく解説していきます。
正喪服
もっとも格式の高い喪服で、喪主と遺族(3親等まで)が着用します。
洋装は、黒無地のワンピーススーツやアンサンブルスーツで、生地は光沢のないもの、できれば、シルクまたはウールが望ましいです。
パンツスーツは格が下がるため、条件が合っていても正喪服、準喪服としては使えません。
和装は、五つ紋がついた黒無地の着物が、正喪服になります。
準喪服
正喪服に次ぐ格式の喪服で、喪主、遺族、参列者の方まで広く着用できる喪服です。
準喪服も、光沢のない、黒無地のワンピーススーツ、アンサンブルスーツですが、正喪服と違い、生地は高級生地でなくてもかまいません。
また、ひかえめであれば、リボンやレースの装飾もOKです。
ただ、洋装の場合、正喪服と準喪服は、外見的には大きな違いがないため、遺族や喪主の方でも、準喪服を着ることが多くなっているようです。
和装は、灰色・茶色・紺色・藍色など、くすんだ色合いの色無地に、黒い帯を合わせ、三つ紋または一つ紋をつけます。
略喪服
略喪服は、文字通り略式の喪服で、参列者の方や、近親者だけの法事に着用します。
正喪服、準喪服は、「喪服」として仕立てられたものでなくてはいけませんが、略喪服は、とりあえず黒・グレー・紺・こげ茶などの服であればOKとされています。
といっても、カジュアルウェアはNGです。よそ行き用のワンピースやツーピース、アンサンブルスーツ、パンツスーツを着用しましょう。
ちなみに、正喪服、準喪服はブラウスも黒でないといけませんが、略喪服は、白のブラウスでもかまいません。
和装は、紺、紫など寒色系の色無地に、黒い帯を合わせ、三つ紋または一つ紋をつけます。
ちなみに、紋の数は三つ紋でも一つ紋でも、どちらでもかまいません。
本来は三つ紋が格上なので、準喪服と略喪服で違いが出そうですが、紋の数については、最近は厳密ではなくなっています。
「正喪服は五つ紋」ということだけ、おさえておけばよいでしょう。
面倒な人は、とりあえず「準喪服」をおさえよう
ここまで、法事と、喪服の種類について解説してきましたが、「おぼえるのが大変」とか、「正喪服と準喪服、両方用意するのはちょっと……」と思った方もあるかもしれませんね。
そんな場合は、とりあえず準喪服を用意しておきましょう。
「準喪服」のトピックでもふれましたが、正喪服と準喪服は一見すると似ているため、喪主・遺族の方も、準喪服を着ることが多くなっています。
また、遺族以外の方の場合、参列するのは、お通夜から四十九日法要までのことがほとんどでしょうから、喪服は準喪服を着ればOKです。
喪服・礼服・ブラックフォーマルは違う?
ネットショップなどで喪服をさがすと、「法事用」として、「喪服」と「礼服」、両方が検索で出てきます。
さらにこのふたつに加えて「ブラックフォーマル」というジャンルで販売されていることもあります。
これらの違いを簡単に説明すると「定義の広さ」にあります。
礼服 → ブラックフォーマル → 喪服
まず礼服は、冠婚葬祭に着るフォーマルウェア全般を指します。
礼服には、ライトグレーなどの淡色から黒色まで、いろいろな色がありますから、礼服の中で黒系のものを分けて、「ブラックフォーマル」と呼んでいるのです。
では「ブラックフォーマル=喪服」かというと、そうではありません。
黒い礼服は、入学式などの慶事にも着ることがありますよね。
ブラックフォーマルと喪服の違いは色の濃さと考えてください。
慶事にも使えるブラックフォーマルは、よく見ると少しグレーがかった薄めの黒ですが、喪服の生地は、喪服用の特別な染めかたをするため、濃く、深い黒色になります。
略喪服は「礼服」や「ブラックフォーマル」を着用しても大丈夫。
一方、正喪服、準喪服は正式な喪服ですから、「喪服」として仕立てられたものを用意したほうが、間違いがなく、安心です。
女性の法事の服装マナー
このトピックでは、法事の服装全般のマナーを紹介します。
正喪服、準喪服のように、喪服として作られたものはそのまま着ても大丈夫ですが、本来、喪服でないものを着る略喪服は、うっかりマナー違反になっていることも……!
その他、バッグや靴などの小物、持ち物のマナーについても紹介します。
法事の喪服・身に着けるもののマナー
法事は華やかなこと、派手なことは禁忌ですから、肌の露出をできるだけ少なくするのがマナーです。
襟の形は大きく開いていないもの、袖は長袖か七分袖、スカート丈は膝下5cmより長いことが目安になります。
夏場の法事では、袖の短い服を着ることもあると思いますが、上にボレロやジャケットを羽織って、腕を隠します。
足は、黒のストッキングを着けましょう。
素足やソックスはNG、また、肌が隠れても、タイツはフォーマルな席ではNGです。
コートは、黒または紺、こげ茶など地味な色で、光沢のない生地のものを選びましょう。
冬場はウールやカシミヤ、春秋は綿、ポリエステルなどがおすすめ。
全体にシンプルなデザインで、ボタンや金具が目立たないこと、ファーやフードがついていないこともポイントです。
ダウンやジャンパー、フードのついたダッフルコートなどは、カジュアルウェアなので、避けましょう。
礼装用のコートもありますが、略喪服と合わせると少しちぐはぐな印象になることもあるので、無理に礼装用を着る必要はありません。
【法事】アクセサリーのマナー
アクセサリーは、結婚指輪とパールのネックレスのみ、着けることができます。
パールのネックレスでも、つぎのようなものは避けましょう。
- 二連になったもの
- パールの粒が、大きい・小さすぎるもの
- バロック型・ドロップ型パール、長いパールのもの
欧米では、お葬式にアクセサリーを着けるのが正式ですが、日本では必ず着用するというマナーはありません。
迷ったら、アクセサリーを着けないで行くのが良いでしょう。
また、和装の場合はアクセサリーは結婚指輪だけになります。
イヤリングや、帯どめも着けません。
【法事】小物のマナー
バッグは黒一色のハンドバッグで、ブランドロゴや金具が目立たないものにしましょう。
以前は、殺生を思わせるため革バッグはNG、といわれましたが、現在は革バッグでもOKという傾向です。
ただし、革素材であることがわからないような、マット仕上げのものを選ぶのが良いでしょう。
バッグに入りきらないものは、サブバッグに入れますが、こちらも黒一色が基本。
リボンやレースの装飾はついていてもかまいません。
靴は黒革のパンプスを選びましょう。
靴先は丸またはスクエア型で、無地のつや消し仕上げがおすすめです。
以下のような靴はマナー違反になりますので、避けましょう。
- つま先が尖っていたり、つま先・かかとが開いたもの
- ストラップや金具、リボンやビジューなどの装飾がついたもの
- 光沢感のある素材
- クロコダイルなど型押し素材
- こげ茶、グレーなど黒以外
【法事】メイクのマナー
法事のメイクは、薄化粧にして、口紅はつけない「片化粧」を施します。
「赤色」、「紅色」は、おめでたい席に使う色なので、法事では避けるのがマナーなのです。
口紅のほかには、華やかなネイルもNG。
法事の当日は落としたり、黒レースの手袋をしたりして、隠しましょう。
持ち物のマナー
法事の当日は、ハンカチや傘などこまごました持ち物があります。
そうした持ち物のマナーを確認しましょう。
ハンカチは白色または黒色のものを使います。
黒いハンカチを持つ方が多くなっていますが、正式な色は白色ですので、正喪服を着る場合は、白がいいかもしれません。
雨傘も日傘も黒、または紺、グレーなど地味な色にします。
ビニール傘は、マナー違反とまではいえませんが、できれば避けたいところです。
夏場の、扇子の使用はマナー違反にはなりません。
骨は黒、紙は白または黒で、絵柄のないものが法事用の扇子になります。
法事のマスクの選び方
コロナ禍での法事は、マスクを着用して出席することになりますが、マスクは「不織布・白色」がおすすめです。
法事は大勢の人が集まりますから、飛沫の飛散を防ぐ効果がいちばん高い、不織布のマスクにしましょう。
色については、白か黒か、意見がまだ分かれていますが、「白」がおすすめです。
白いマスクのほうが、着用がひと目でわかりますし、黒いマスクは、若い方のファッションアイテムになっている部分があり、カジュアル感が出る恐れがある、というのが理由です。
子どもの服装マナーは?
学校の制服は第一礼服という位置づけでから、高校生までは、学校の制服が喪服になります。
また、子どもの喪服は、正喪服、略喪服といった区別がないので、法事の種類、立場にかかわらず、制服での参列が可能です。
制服がないお子さんは、白いブラウスに黒または紺のブレザーを着用します。
大学生の方は、大人と同じ喪服を着用しましょう。
喪服にビジネススーツは使える?
黒、グレー、こげ茶など暗い色のビジネススーツは、略喪服として着ることができます。
ただ、ビジネススーツは光沢のある生地を使っていることもありますし、形も礼服とは異なっています。
若い方は、リクルートスーツやビジネススーツでもよいと思いますが、40代以降の人は、喪服用のスーツを用意したほうが望ましいでしょう。
平服の意味と、正しい服装
法事の案内に「当日は平服でお越しください」と書いていることがあります。
一般的には、平服は「日常着、普段着」を指しますが、冠婚葬祭で「平服」といえば、「格式を下げた礼服」という意味。
法事の席での「平服」は「略喪服」を着るのが正解です。
「喪服の種類・格式」のトピックで解説したように、お出かけ着のワンピースやスーツで、色の暗いものを着用しましょう。
アクセサリーやメイク、持ち物のマナーについては、お通夜、お葬式と変わりがありません。
法事用の喪服をレンタルするのもおすすめ
「法事が近づいているけれど、適した喪服がない……」
「サイズが変わってしまって、手持ちの喪服が着れない」
そんなときは、喪服をレンタルをしてしまうのがおすすめ。
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5,000円以上で送料無料
取扱商品
スーツセット、バッグ、袱紗、パンプス、アクセサリー
小物セットあり
レンタル期間
3日~90日
配送
一部地域を除き3日後
4日後の地域
北海道、青森県、秋田県
和歌山県、中国、四国、九州、新潟県佐渡市
兵庫県一部地域(豊岡市、美方郡、養父市、家島町、沼島)
奈良県一部地域(下北山村、十津川村、西吉野町、大塔町)
離島・沖縄の配送は不可
お得な喪服セットあり
実際に借りられるアイテムや、詳しい利用方法については、こちらの記事をご覧ください。
まとめ
法事ごとの喪服の選びかた、喪服のスタイルと、法事の服装マナー全般について、紹介しました。
法事は非常におごそかなものですから、きちんとマナーを守って参列したいですよね。
服装から持ち物、マスクまで、気を付けるべきマナーが多いですが、法事のときに慌てないよう、覚えておくと良いでしょう。
PETALには、各法事のマナーについてより詳しく書いた記事もありますので、もっと掘り下げて知りたい人は、チェックしてみてください。
ライター紹介
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